
江戸から続く伝統柄を守るために
私は能楽扇の絵を50年以上描いてきました。
江戸時代を含む古い扇の写しを描き、中啓扇や仕舞扇へと仕立て上げられた種類はおよそ600種以上になります。
このサイトでは、現在使われている中啓扇の種類の紹介をメインに、狂言で使われる扇、花軍についてなどを紹介します。
能の扇のことを広く知っていただくことで、能扇の文化を守りながら少しでも多く後世に残したいのです。
職人であった先人たちの技術、思いを引き継ぎ、舞台の中で舞う方々に厳かながらも華やかさを添えたい―
受け継がれると言っても、実際は単なる写しに過ぎないと思います。
ですが、依頼された方の中には何かしら『思い』を持ってる方もおられると思います。
どのような思いであれ、依頼された方、その持ち主が喜んでくださるよう私は心を込めて描いています。
能楽は600年以上も続く伝統文化です、そこには必ず扇がありました。
また、戦国時代では将軍や大名、公家などが、贈られた扇を手に曲を舞うこともあったそうです。
能楽扇はそのくらい重要で大切な小道具です。
しかし、近年では能楽扇のことを知られることなく、廃れつつあります。特に能楽用の中啓扇を仕立てる職人はごくわずかです。
それらもあってか、先代や師匠から扇をお借りし、使われる能楽師は少なくないです。
このサイトは、先述の通り能楽扇の紹介がメインです。
ですが、もし能楽扇をご覧になり、注文したいものがありましたら、『本家十松屋』へぜひご連絡してください。
また、ご家庭向けに扇面額絵(片面のみ)など、お部屋に飾るための扇の依頼も受け付けています。
皆様のご希望に添えるよう、真心こめて描きます。
お問い合わせよりお尋ねください。
最後に、このサイトを立ち上げるにあたりご協力してくださいました、本家十松屋様に心から感謝申し上げます。
―菊井伯幸
経歴
菊井伯幸(きくい のりゆき)
1953年(昭和28年) 香川県高松市に生まれる
1975年(昭和50年) 嵯峨美術短期大学(現 嵯峨美術大学/嵯峨美術短期大学)日本画専攻科を卒業
同年 4月より扇面絵付けの仕事を始める
1973年(昭和48年)~81年(昭和56年) 京展出品(日本画)
1982年(昭和57年)~97年(平成9年) 第三文明展出品(日本画)奨励賞3回受賞
1996年(平成8年)~2000年(平成12年) 月刊誌に挿絵掲載(風景、静物、草花等)年間40点
1999年(平成11年) 国立能楽堂製作ビデオ『能の扇をつくる技と人』で扇面上絵師として出演
2003年(平成15年) 蒐集した扇のうち、貿易扇を嵯峨美術大学附属博物館 第4回企画展『貿易扇ー欧羅巴が求めた日本美』にて展示
2006年(平成18年) 『欧羅巴がもとめた日本美の世界貿易扇』に展示 東大阪市民美術センター
2008年(平成20年) 『貿易扇菊井伯幸コレクション』に展示 神戸ファッション美術館
2009年(平成21年) 嵯峨美術大学連続講座 京の美意識『上絵師として』講演
2014年(平成26年) 『古に学ぶ扇の世界』(作品とコレクション展) 嵯峨美術大学附属博物館
2024年(令和6年) 能の扇の世界~華麗で繊細な江戸時代の中啓を復元~(復元画展) 京都文化博物館
同年 神戸女子大学古典芸能研究センター令和6年企画展『華麗なる能扇の世界~江戸時代の復元を中心に~』復元画展示
菊井佑美(きくい ゆみ)
1990年(平成2年) 栃木県宇都宮市生まれ、京都で育つ
2010年(平成22年) 京都嵯峨芸術大学 短期大学部(現 嵯峨美術大学/嵯峨美術短期大学)日本画専攻科卒業
2014年(平成26年) 『古に学ぶ扇の世界』(作品1点) 嵯峨美術大学附属博物館
同年~現在 父の指導のもと、扇面絵付の仕事をする
サイト編集―菊井佑美