現在使われている扇の絵のデザインは、ほとんどが江戸時代から、一番古くて安土・桃山時代から歴代の絵師たちによって受け継がれてきました。また、当時の絵師たちや依頼者である能楽師たちは、流行っていた中国から伝わる絵を参考に、いくつもの能扇に取り入れてきたことも分かっています。
ここに載せている仕舞扇のコレクションは戦前(昭和初期ごろ)に作られていますが、絵師たちによる忠実な模写のこだわりぶりが見てわかるかと思います。
私はこれらのコレクションから、先人たちによる技法を学び、今世に、また後世に受け継いでいく思いで描き続けます。


















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【バリエーション】
一つのテーマでも、依頼主によるこだわりや絵師などによって描き方がここまで変わることがあります。
『日輪に立浪図』ー通称負修羅扇を一例に紹介しますが、これの対となる勝修羅扇、花軍、上記に紹介した秋草なども、描き方を変えて世界に一つだけの絵柄にしています。
こうしてみれば、持ち主のこだわりが少しわかるような気がします。



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…余談ですが、『近衛引き』と呼ばれる技法は職人によって受け継がれてきました。しかし直系の後継人は現在おらず、菊井父がその職人から直接技法を学び、後継人の一人になっています。菊井娘もまた、父から技法を学び、拙いながらですが引き継いでいます。こうして後継者が廃れ、技術文化がまた一つ無くなると思うと寂しいものです。